
20260630~0702 黒部市議会 生活環境委員会 行政視察
京都市:自殺対策を「まちぐるみ」で支える仕組み
第3次「きょう いのち ほっとプラン」に基づく、自殺総合対策の取り組みを伺いました。京都市は人口の約1割を大学生が占めるという特性があり、若者の孤立対策が大きな課題です。そこで大学生向けアプリでの周知やネット検索と連動したデジタル発信に加え、令和7年度からは大学と連携したゲートキーパー養成講座もスタート。厚生労働省の啓発チラシを市内すべての高校生に配布するなど、若い世代に直接届けるための工夫が見られました。
市民のゲートキーパー認知度向上のために「京都ハンナリーズの公式マスコットキャラクター はんニャリン」を京都市ゲートキーパーインフルエンサーに起用しています。
ゲートキーパー養成研修は新任職員研修や学校関係者向け研修にも組み込まれており、区役所や支所といった身近な窓口で「気づき」から「専門機関へのつなぎ」までを丁寧に行う体制が根づいていました。
相談体制も多彩で、「くらしとこころの総合相談会」では弁護士、司法書士、心理士、保健師に加えて僧侶も相談員として名を連ねているのが京都らしいところ。認定NPO法人が寺院を会場に開く予約不要の居場所づくりや、20年以上続く遺族支援団体による官民共催の啓発イベントなど、行政と民間がそれぞれの強みを持ち寄って支え合う姿が印象的でした。
自殺の背景は複合的で、施策を尽くしてもなお「気づき」自体が難しいのが実情です。だからこそ、生きづらさを抱える人に早く気づき、専門機関へつなぐこと、そして本人だけでなく家族や周囲、さらには遺族へのケアまで含めた重層的な支援の重要性を改めて感じました。
草津市:草津駅近くの複合施設内にある子育て支援拠点「ココクルひろば」
対象は小学3年生までの子育て家庭で、開所時間内なら予約不要・無料。乳幼児の安全に配慮したゾーニングがされ、授乳室はもちろん男性トイレにもおむつ替え台が設置されているなど、父親の育児参加を後押しする工夫も見られました。
運営を担うNPO法人のスタッフは保育経験者が中心で、「安全な遊び場」を提供するだけでなく、保護者同士が自然につながるきっかけをつくったり、何気ない会話から家庭の悩みに気づいて相談に乗ったりと、伴走型の支援を実践していました。子育て支援センターという場所が持つ役割の大きさを、改めて実感する視察となりました。
草津市:学童保育の多様な形
「待機児童を出さない」という方針のもと、平成27年から公設に加えて民設民営のクラブを計画的に整備してきたとのことです。話を伺う中で見えてきたのは、公設と民設、それぞれに保護者や子どもが「選ぶ」理由があるということ。学校内や隣接する公設クラブは通いやすさや送迎のしやすさから低学年に人気がある一方、民設クラブは独自の教育プログラムを打ち出して支持を集めています。また、子どもの個性に合わせた選択をしているケースもありました。
指導員へのサポート体制も充実しており、夏休み前の安全研修や、発達特性のある子どもへの関わり方を学ぶ研修に加え、年1回の情報交換会で指導員同士が悩みや成功事例を共有できる場も設けられています。子どもの居場所でもある学童の形が多様にあり、それを選べることが重要だと感じました。
公立甲賀病院:荒天による視察中止という判断
前日からの大雨の影響により、当日朝の段階で滋賀県草津市にレベル4大雨危険警報およびレベル4土砂災害危険警報が発令されており、移動経路であるJR草津線が運休。
復旧を待って午前9時まで待機し、情報収集を続けましたが、運行再開の見込みが立たず、安全を最優先して視察中止を決定し、列車運行しているルートへ変更して帰路につきました。結果として、その後列車は運行再開するも遅延が生じており、危機管理の観点からも適切な判断であったと考えています。
視察は中止となったものの、先方から資料をお送りいただき、地域医療連携の取り組みを学ぶことができました。同病院の地域医療連携部は、専門職28名体制で地域の医療機関と患者をつなぐ「架け橋」の役割を担っており、かかりつけ医と病院の医師が共同で治療にあたる「二人主治医制」や、開放型病床の運用など、切れ目のない医療提供の仕組みが整えられていました。医師確保についても、大学からの派遣に加え、専門医研修プログラムの新設や研修医の増員、医師少数区域での勤務を後押しする独自支援など、複数の取り組みを組み合わせていました。
~黒部市のこれからに向けて~
今回の視察を通じて共通して感じたのは、「行政だけでなく、民間や地域住民、専門職がそれぞれの立場でまちを支えている」という姿勢です。自殺対策、子育て支援、学童保育、地域医療連携――分野は異なっても、誰かがひとりで抱え込まず、必要な支援につながる仕組みをまちぐるみでつくっているという点は共通していました。
黒部市においても、安心して暮らし続けられるまちづくり、子どもたちが自分に合った居場所を選べる環境づくり、そして地域医療を支える体制づくりに、今回学んだ視点を活かしていきたいと思います。